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Enterprise HDD 市場傾向 2020/05/09

さて、初めての試みではあるが、Enterprise HDDを日頃から調べている身として、大まかな市場傾向や価格の推移について簡単にまとめ、購入を検討している方々の手助けになればいいと思い、このレポートを記す。果たして需要があるかどうかすらわからないが、とりあえずは気が向いたタイミングで書こうと思う。

 

Enterprise HDDの定義だが、HGST(WD) UltrastarSeagate Exos、Toshiba MGシリーズなど、サーバー向けHDDとして区別されているHDDが中心となる。

コンシューマー向けのSeagate Barracuda、WD Blue、Toshiba DT01ACA、MD、NAS向けのWD Red、Seagate Ironwolf、Toshiba MN、監視カメラや録画向けのWD Purple、Seagate Skyhawk、Toshiba MD-V、DT-Vなどに関しては、基本的に触れない。これらの民生向けHDDは、Akiba PC Hotlineさんなどが、大手PCショップの価格推移について、すでに記事を出しているからだ。

また、Red ProについてはGoldよりも高いため、Goldについては、大容量モデルはUltrastar DCシリーズがベースとなっており、基本的なスペックは全く変わらないため、そして基本的に流通量が少なく割高なため、積極的に触れることはしない。

SATA 7200 3.5インチの新品、もしくはメーカーRefurbish品のHDDを中心とし、中古品や、SASや2.5インチモデルの流通が限られているモデルについては、基本的に記載しないことも断っておく。

 

では、前置きはこの辺にして、さっそく始めよう。

まずは本日、5月9日、コロナウイルスの影響で自社フルフィルメントセンターからの国外配送を中止していたアメリカのAmazon.comが、Global Priority Shippingに限る、数日遅れが出る恐れがあるという部分制約付きで、国外への配送を再開したようだ。これまでは商品を検索しても価格が表示されなかったが、とりあえずは元に戻ったようだ。

そして、時をほぼ同じくして、newegg.comにおいて、一部HDDの国外配送制限がかかり始めたようだ。5月7日時点では問題なかったのだが、昨日5月8日から徐々にOut of StockのHDDが増え、商品ページではIn Stockであったとしても、Checkout、つまりレジのページに行くと、「この商品は在庫切れです」となり、注文することができない。

この件についてneweggに問い合わせたところ、国際配送用の在庫がなくなっているが、商品ページに在庫状況が反映されていなかったとの回答だった。しかし、1つのモデルの在庫が切れたのならわかるが、複数のベンダー、それも確認できただけでも10モデル以上のHDDが同時に在庫切れを起こすことはまずないはずだ。よって私は、日本だけでなく、海外配送に制限がかかっているカテゴリーがあるのだと推測する。取り急ぎ、WD Red、Red Pro、Purple、HGST UltrastarSeagate Exos、Toshiba MGにおいて、配送制限を確認した。

なお、Amazon.comと同じく、neweggの販売・発送するものに制限がかかっているのであって、モデルによっては、国際配送に対応する別の出品者から買えることもあるが、基本的に割高になるため、ebayや国際配送を再開したAmazon.comから買うのがいいだろう。

 

さて、それでは価格推移についてだ。まずはECサイトごとの傾向に触れておく。

Amazon.comは在庫状況が不安定で、モデルによっては入荷待ちのものも見受けられた。Amazon.com販売・配送のものは少なく、マーケットプレイス出品者が販売・Amazon.comが発送するものが大半を占めていた。価格は全体的に安く、現行品であれば、基本的にほかのECサイトに比べて大きく価格差が開いているものはない。何かあったときのカスタマーサポートも含め、堅実であるといえるだろう。

ebayも基本的にはAmazon.comと誤差程度の価格差しかない。何かあった際にメーカー保証を受ける場合、購入証明として有用なのは、ebayよりもAmazon.comであることは言うまでもないため、どちらを選ぶかはその人によって判断が分かれそうだ。ただし、ebayで気を付けてほしいのは、Global Shipping Programの有無だ。Global Shipping Programについては、ebayのGlobal Shipping Programの問題点 - TLC’s Archivesで詳しく記しているため、参照してもらいたい。

 

それでは、前置きが長くなったが、Ultrastarの価格推移から見ていこう。

DC HC310などの小容量モデルは、おおむねebayが少し安い傾向にある。Amazon.comとの差は1000円~2000円で、どちらから買っても問題はないだろう。

一部の7K4000や7K6000などは、ヤフオクやメルカリにかなり安い価格で売られていることがあるため、掘り出し物を見つけたのなら買ってもいいだろう。例えば、私はこの前、DC HC310の4TB x2つを、18500円で落札できた。容量単価は2315円と、民生向けHDDとほぼ変わらない金額でエンプラHDDを入手できた。

DC HC500番台のヘリウム入り大容量モデルは、1TBあたり30ドル~と、全体的に容量単価が割高になっている。おそらくコロナウイルスが影響していると思われるが、同容量のSeagate Exosより約10%前後高い。

 

Seagate Exosは、10TBのST10000NM0086が、ebayでかなり安く売られている。イスラエル発送のため、届くまでどれくらいかかるかはわからないが、新品で容量単価は1TBあたり25ドルと、Amazon.comで売られている、Refurbish品のST12000NM0007(1TBあたり24.845ドル)と同等レベルにある。

そのほかのモデルは、容量単価が1TBあたり26ドル~29ドルとばらつきがあるが、全体的にUltrastarより安価で、コロナウイルス流行以前との価格差もほぼない。Exos 7E8の、型番に「A」が付く新しいモデルは、neweggが全体的に安価だったが(とは言っても容量単価は1TBあたり35ドル~と割高)、もはや在庫切れのオンパレードで、転送屋を通さずに買うことは望めないだろう。

 

ToshibaのMGシリーズは国内で買う方が基本的に安い。MG06ACAシリーズは国内が最安だ。MG07ACAシリーズは国内よりもneweggが安かったが、前述の理由により入手できないため、在庫が回復するまで待つか、国内で買うしかないだろう。MG07ACA12TEは国内とneweggとで約3000円ほどの価格差がある。また、MG07ACA14TEや、MG08ACA16TEは国内での取り扱いが非常に少ないため、これもneweggの在庫が戻るまで待った方がいいだろう。

 

ヤフオクではRed Proの4TBや7K4000の4TB、Goldにマイナーチェンジする前のWD Re 2TBモデル、Blackの2TBモデルなどの未開封Refurbish品が、同じ出品者から比較的安い値段で出品されているため、気になる方は調べてほしい。

また、SeagateのExosも、4TB、8TB、10TBの未開封Refurbish品の出品がある。

さらに、WD Goldも定期的に1TBモデルの6本セットが出品されているため、定期的にチェックしてみるのもいいだろう。もっとも、3.5インチのサイズで1TBというのは、少し容量密度が低い気もするが...

 

さて、本日はこの辺で終わりにしようと思う。次にいつこのシリーズの記事を書くかはわからないが、誰かに役立てばうれしい限りだ。